セニングシザーは、犬の毛量を減らしたり質感を調整したりできるハサミです。カット率や櫛目の数、素材など、選ぶポイントがいくつかあります。初めて購入する方でも失敗しないように、それぞれの特徴を分かりやすく解説していきます。セニングシザー選びで迷っているという方はぜひ参考にしてみてください。
カット率で選ぶ
セニングシザーを選ぶときに、もっとも大切なポイントがカット率です。カット率とは、1回のカットで切れる毛の量をパーセントで表した数字になります。たとえばカット率30%のハサミなら、つかんだ毛の約30%を切ることが可能です。このカット率によって、カットのしやすさや仕上がりが大きく変わってきます。カット率が高いほど一度に多くの毛を切れますが、その分技術も必要になります。犬種や毛質、仕上げたいスタイルに合わせて選ぶことが大切です。
バランス型は25〜30%
トリマーが一番多く使っているのは、カット率25〜30%のタイプです。このカット率なら毛量調整も質感調整もでき、バランスよく使えます。切りすぎる心配が少なく、少しずつ様子を見ながら調整できるので失敗しにくいのが特徴です。
初めてセニングシザーを使う方にもおすすめです。プードルやシーズーなど、毛量の多い犬種のトリミングに向いています。顔周りから体まで幅広く使えて、きれいな質感を作ることもできます。
細かい調整なら25%以下
カット率25%以下のタイプは、繊細な仕上げや微調整に適しています。一度に切れる量が少ないため、細かいニュアンスを出したいときに便利です。顔周りや耳の付け根など、デリケートな部分のカットに向いています。
カット跡が目立ちにくいため、自然な仕上がりを求める方におすすめです。ただし切れる量が少ない分、作業時間は長くなります。丁寧に仕上げたいときに使うとよいでしょう。
ぼかしなら35%以上
カット率35%以上のタイプは、1回で多くの毛を切ることができます。そのため作業時間を短くしたい方やしっかりとぼかしたいときに向いています。ダブルコートの犬種のアンダーコート処理や毛が密集している箇所の処理に効果的です。
ただし、一度に切れる量が多い分、慣れた方向けのタイプといえます。カット率が高いと、カット跡が目立ちにくくなるメリットもあります。毛玉ができやすい部分の処理にも大活躍です。近年はカット率70%程度のブレンディングシザーも人気で、ふんわりとした自然な仕上がりを作れます。
櫛目の数で選ぶ
セニングシザーには、クシ刃の本数を表す櫛目という数値があります。櫛目の数によって、カットの仕上がりが変わってきます。一般的には40目前後が使いやすいです。
標準は40目前後
トリマーがもっとも多く使っているのは、櫛目40目前後のタイプです。カット率25〜30%と組み合わせて使うことで、バランスのよい仕上がりになります。V字溝に入った毛だけをカットするシンプルな構造で、使いやすいのが特徴です。
小型犬から大型犬まで、幅広い犬種に対応できます。最初の1本として選ぶなら、このタイプがおすすめです。
細かい仕上げは40目以上
櫛目40目以上のタイプは、カット跡を残さず繊細なカットができます。毛を均等に薄くすることができ、ボリュームの調整がしやすくなります。細い毛や滑りやすい毛質の犬種にも適しています。
仕上がりの質感を重視する方に向いているタイプです。プードルのテディベアカットなど、ふんわりとした質感を出したいときに便利です。
ぼかすなら35目以下
櫛目35目以下のタイプは、多くの毛をつかんでぼかすことができます。カット率35%程度と組み合わせることで、効率的に作業を進められます。三梳きと呼ばれる形状のものもあり、これは櫛に段差が3段ついているタイプです。
短い毛をしっかり切ることができるため、足元や体の側面などに使われます。作業スピードを重視する方におすすめです。
素材とサイズで選ぶ
セニングシザーの素材やサイズも、選ぶときの大切なポイントです。使いやすさや長持ちする度合いが変わってきます。素材によって価格帯も異なるため、予算に合わせて選ぶことも大切になります。
コバルトは長持ち
コバルト製のセニングシザーは、切れ味と耐久性に優れています。メンテナンスの負担も少なく、長く使えてコストパフォーマンスがよいです。価格は高めになりますが、プロのトリマーからも支持されている素材です。
研ぎに出す頻度も少なくて済むため、トータルで見るとコストを抑えられます。本格的にトリミングの仕事をする方や質の高い道具を使いたい方に適した素材です。硬い毛質の犬種でも切れ味が落ちにくく、快適に作業できます。
440Cステンレスは手頃
440Cステンレス製のセニングシザーは、価格が手頃で購入しやすいのが魅力です。初めて買う方や練習用として使いたい方に向いています。コバルトに比べるとメンテナンスの頻度は多くなりますが、定期的にお手入れをすれば長く使い続けることができます。
自宅で愛犬のトリミングを始めたばかりの方に最適な選択肢です。錆びにくいように、使用後は毛をしっかり落として保管しましょう。
サイズは犬種で選ぶ
セニングシザーの長さは、インチで表示されています。一般的には6〜6.5インチのサイズが使いやすいです。小型犬には短めを、大型犬には長めを選ぶと扱いやすくなります。
また、広い範囲を一度に切りたいなら長め、細かい部分を調整したいなら短めのサイズが適しています。実際にもってみて、手になじむサイズを選ぶことが大切です。手の大きさによっても使いやすいサイズは変わってくるため、可能であれば実物を試してから購入するのが理想的です。
チワワなど小型犬専門なら5〜6インチ、ゴールデンレトリバーなど大型犬も扱うなら7インチ以上がおすすめです。顔周りや足先などの細かい部分には、4.5〜5インチのミニシザーも便利でしょう。
まとめ
セニングシザーは、カット率や櫛目の数、素材によって使い心地が大きく変わります。初めて選ぶ方は、カット率25〜30%で櫛目40目前後のタイプから始めるとよいでしょう。このカット率と櫛目の組み合わせは、トリマーの間で最も多く使われている標準的な仕様です。慣れてきたら、用途に合わせて2本目、3本目を検討するのもおすすめです。細かい仕上げ用に櫛目の多いタイプや、時短作業用にカット率の高いタイプなど、目的別に揃えていくと作業の幅が広がります。自分に合った1本を見つけて、愛犬の理想のスタイル作りに役立ててください。
