トリミングシザーはお手入れする必要がありますが、自己流でお手入れしているとあまり長持ちしません。トリミングシザーのお手入れには、セーム革を使うとよいとされていますが、セーム革とはどのようなものなのでしょうか。そこで今回は、セーム革とは何か、トリミングシザーやセーム革のお手入れ方法を解説します。
セーム革とは?
トリミングシザーのお手入れに使えるセーム革とはどのようなものなのでしょうか。ここでは、セーム革について解説します。
セーム革とは
セーム革とは、鹿革を油でなめしたものです。主としてコラーゲンと呼ばれるたんぱく質の分子が絡み合って、人工製品ではマネできない超微粒子コラーゲン繊維で構成されています。セーム革の超極細繊維によって、水分や油分、汚れを完全に拭き取れます。
純鹿革のセーム革は、耐久性や保管能力に優れ、さらに油でなめしており高い耐水性もあるので、簡単な手洗いで何回も使用可能です。セーム革は、貴金属や精密機械を拭くには最高品質の素材です。トリミングシザー以外にも、カメラマンや音楽家など各分野のプロが自分の大切な道具のお手入れに使っています。
セーム革の用途
セーム革の用途には、カメラや望遠鏡などのレンズ、メガネ、スマートフォン、ピアノやギターなどの楽器製品、宝石やアクセサリーなどの貴金属の拭き取りに使われます。さらに医療機器、車やバイクなどの磨き仕上げにも使用されます。
そのほかにも、軽くなめらかな手触りから、財布やバッグ、小物、衣服の素材としても利用されています。
セーム革はハサミのお手入れに使える
セーム革はハサミのお手入れに使えますが、どのようにしてお手入れすればよいのでしょうか。ここでは、セーム革を使ったハサミのお手入れ方法を解説します。
ハサミをお手入れするタイミング
トリミングシザーは高価なもののため、できるだけ長持ちさせたいものです。そのためには、日頃からトリミングシザーのお手入れをすることが重要といえます。
ハサミをお手入れするタイミングは、トリミングの最中に切れ味が悪くなったとき、1頭のトリミングが終わったとき、その日のトリミングが終わったときなどです。このほかにも、トリミングシザーに不具合を感じたら都度お手入れしましょう。
ハサミのお手入れ方法
まず、四つ折りにしたセーム革を用意します。次にハサミを90度に開き、毛や油脂、汚れをティッシュやキレイな布で静刃・動刃両方の拭き取りが必要です。キレイに拭き取ったら、シザー専用オイルスプレーを触点や刃全体に吹き付けます。
この際に、触点部分に詰まった毛や汚れも噴出しましょう。液状になっているシザーオイルを使用する場合は、ティッシュやキレイな布にオイルを含ませて、触点や刃全体にオイルをなじませます。触点部分に詰まっている毛や汚れは分解して掃除しましょう。
不要なオイルや汚れをティッシュや布で拭き取ってから、四つ折りにしたセーム革で刃の内側から刃先に向けてひねるように2~3回拭きます。お手入れはこの作業が最も重要で、セーム革でのお手入れを多く行えば研ぎに出す回数が激減します。
セーム革をお手入れに使った後は?
セーム革をお手入れに使った後はセーム革もお手入れしましょう。ここでは、セーム革のお手入れ方法を解説します。
セーム革のお手入れ方法
汚れたセーム革を使ってハサミを拭くと、セーム革に付着している細かな汚れで刃にキズを付けてしまう恐れがあります。そのためセーム革のお手入れも重要です。汚れたセーム革は、お湯とせっけんを使って表面を優しく手洗いします。
この際、布を洗うようにゴシゴシ洗ってはいけません。セーム革は、汚れが繊維のなかにしみ込まず表面に付着しているだけなので、せっけんで表面を軽くこすり洗いするだけでOKです。洗い終わったらセーム革を絞らず、濡れたセーム革の表面をタオルで水分を吸い取るように押し当てます。
水分を吸い取ったら、アイロンがけはせずに日陰に干しましょう。ハサミを拭くためにさまざまな人口クロスがありますが、やはりセーム革が一番です。きめ細かな繊維の表面は、ハサミにキズを付けず確実に水分や汚れを拭き取ってくれます。
セーム革を柔らかくするには
セーム革にアイロンがけは厳禁です。洗い終わったあと、アイロンをかけるとごわごわに硬くなってしまいます。日陰に干す際に、まだ濡れた状態で軽くもみほぐすと仕上がりが柔らかくなります。もし、乾いてからでも硬いようであればもんで柔らかくしましょう。
また、セーム革を洗う際に、柔軟剤を入れるのもおすすめです。乾いたあとに柔らかい仕上がりになります。
まとめ
セーム革とは、鹿革を油でなめしたものです。セーム革の超極細繊維により、水分や油分、汚れを完全に拭き取れます。ハサミのお手入れ方法は、ハサミを90度に開き毛や油脂、汚れをティッシュや布で拭き取ります。
拭き取ったらオイルスプレーを使用し、ハサミ全体にオイルをなじませます。その後、四つ折りにしたセーム革でハサミを拭いて完了です。セーム革のお手入れ方法は、お湯とせっけんを使って表面を優しく手洗いします。
洗い終わったら絞らず、タオルでセーム革の表面の水分を吸い取ります。吸い取ったら日陰に干して自然乾燥させ、硬かったらもんで柔らかくしましょう。