ペットのトリミングに欠かせないカーブシザーは、顔や足回りなど丸みのあるカットを得意とするハサミです。刃が曲がった独特の形状により、ストレートシザーでは難しい繊細な丸みを簡単に作れます。この記事では、カーブシザーの特徴から具体的な使い方、自分に合ったハサミの選び方まで、トリマーに役立つ情報をわかりやすく解説します。
カーブシザーとは
カーブシザーは、刃の部分が曲線を描いた形のトリミング用ハサミです。一般的なストレートシザーとは異なり、刃が緩やかにカーブしているため、ペットの体の丸みに沿ったカットが可能になります。
顔や足回りで活躍
カーブシザーは主に顔周りや足回りなど、繊細な丸みが必要な部分で使われます。たとえば目の周りや耳の後ろ、マズル周りといった細かい部分のカットに最適です。また、トイプードルのアフロカットやビションフリーゼの頭部、足先の丸いカットなど、球体を作る作業でも大きな力を発揮します。
ストレートシザーでも丸みのあるカットは可能ですが、何度もハサミの角度を変えながら微調整する必要があります。一方、カーブシザーを使えば、ハサミのカーブをカットラインに合わせるだけで自然な丸みを作れるため、作業時間の短縮にもつながりやすいです。
ストレートシザーとの違い
ストレートシザーは刃がまっすぐなため、直線的なカットや全体の長さを揃える作業に適しています。対してカーブシザーは刃が曲がっているため、曲線的なカットや丸みを出す作業が得意です。
ストレートシザーは7インチ程度のものが基本の1本として使われますが、カーブシザーは補助的な道具として、顔周りや足回りなど特定の部分に使用します。両方のハサミを使い分けることで、効率的かつ美しい仕上がりが実現できます。
カーブシザーの使い方
カーブシザーを効果的に使うには、基本的な持ち方と動かし方を理解することが大切です。正しい使い方を身につけると、きれいな丸みを簡単に作れるようになります。
基本の持ち方
カーブシザーの持ち方は、基本的にストレートシザーと同じです。親指を下の穴に入れ、薬指を上の穴に入れてもちます。手元をしっかりと支え、安定した状態で使うことが重要です。
とくに顔周りや目の周りなど、ペットが動く可能性がある部分では、慎重に操作する必要があります。メガネハンドルタイプのカーブシザーは、ハサミをひっくり返して使うことで、カーブの向きを変えられるため、1本で2本分の働きをします。
丸みの作り方
丸みを作るときは、カットする部分の形状とハサミのカーブを合わせることがポイントです。毛の角度や長さに合わせてカーブシザーを動かすと、自然な仕上がりになります。
たとえば足回りを丸くカットする場合、ハサミのカーブを足の形に沿わせながら、少しずつカットしていきましょう。一度に多く切りすぎず、様子を見ながら調整することで、左右対称の美しい丸みが作れます。
大きな球体を作る場合は8インチ程度の大きめのカーブシザーを、小さな部分には6インチ程度の小さめのカーブシザーを使うと作業がしやすくなります。
使う場所と順番
カーブシザーは、全体のカットが終わった後の仕上げとして使うのが一般的です。まずストレートシザーで大まかな形を整え、その後、カーブシザーで丸みを出したい部分を仕上げていきます。
顔周りでは、マズル周りや頭頂部、耳の周りなどに使用します。足回りでは、足先の丸みを出すときに活躍します。使用する前に、シャンプーやコンディショナーの残りをきれいに拭き取っておくことが大切です。汚れが付いていると切れ味が鈍くなり、毛が絡まる原因になります。
カーブシザーの選び方
自分に合ったカーブシザーを選ぶことで、作業効率と仕上がりの質が大きく変わります。サイズやカーブの角度、ハンドルの種類など、いくつかのポイントを押さえて選びましょう。
サイズの選び方
カーブシザーのサイズは、4.5インチから8インチまでさまざまです。初めてカーブシザーを購入する場合は、6.5インチから7インチのサイズがおすすめです。このサイズは顔にも体にも使えるオールマイティーなタイプで、幅広い場面で活躍します。
すでにカーブシザーをもっていて、足回りやマズル周りの細かい部分用に2本目が欲しい場合は、6インチ程度の小さめサイズが便利です。
カーブの角度の違い
カーブシザーはカーブの角度によって使い心地が変わります。緩やかなカーブのハサミは、ストレートシザーに近い感覚で使えるため、初心者にも扱いやすいのが特徴です。大きな丸みや全体的なラインを整えるのに向いています。
一方、きついカーブのハサミは、小さな部分の丸みを作るのに適していますが、慣れるまで練習が必要です。カーブの始まる位置も重要で、刃の中央からカーブするタイプと刃先に向かってカーブするタイプがあります。
自分がよくカットするスタイルに合わせて、カーブの角度を選びましょう。
ハンドルの種類
カーブシザーのハンドルには、メガネハンドルとオフセットハンドルの2種類があります。メガネハンドルは両方の穴が同じ形をしており、ハサミをひっくり返して使えるため、カーブの向きを変えられるメリットがあります。1本で2本分の役割を果たすため、カーブシザーにはメガネハンドルがとくにおすすめです。
オフセットハンドルはもちやすさに優れていますが、カーブシザーの場合は向きを変えられないため、用途が限られます。指かけが脱着できるタイプなら、自分の好みに合わせてカスタマイズできます。
まとめ
カーブシザーは、ペットトリミングで丸みのあるカットを実現する専用のハサミです。刃が曲線を描いた独特の形状により、顔周りや足回りなど繊細な部分のカットが簡単になります。基本的な持ち方と丸みの作り方を理解し、カットする部分に合わせてハサミを動かすことで、美しい仕上がりが得られます。初めて購入する場合は6.5インチから7インチのオールマイティーなサイズを選び、メガネハンドルタイプにすると使い勝手がよくなります。カーブの角度は自分がよくカットするスタイルに合わせて選び、購入後のメンテナンス体制も確認しておくことが大切です。
